校長ブログ

令和7年度卒業証書授与式・式辞

【avantgardey 卒業・1年前に堺東高校で撮影しました】

  ~前略~

 さて、ただ今卒業証書を授与しました 227名の卒業生のみなさん、改めて卒業おめでとうございます。みなさんは3年前、「夢に向かってチャレンジする人物の育成」という事をスクールミッションとするここ堺東高校に入学しました。「夢チャレ」という探究授業も3年間受けてこられました。みなさん、夢は見つかったでしょうか。そしてその夢に向かって邁進されているでしょうか?それとも夢に挫折して方向転換を余儀なくされているでしょうか?もしくはやっぱり夢は見つからず、もがいているでしょうか。

 思い起こせば僕も中学校を卒業した時には、「何物にもなれる」と無限の可能性があるように思って高校に入学しましたが、様々なことを選び、逆に選ばなかったこと、さらには必ずできると思っていたことが、それはできないとわかって諦め方向転換したりしたこともあり、どうも生きる道が狭くなったような気もしていました。中学に比べて高校は、人生の進路に向かって様々な選択肢があり、選択肢があるがゆえに他の可能性を捨てている気がすることもあります。例えば弁護士になろうと決めて法学部を選んだら、建築士になる道を捨てたことになり、看護師になろうと看護学部を選べば、トリマーになる可能性はまずなくなる気がします。僕は、進学に経営学部を選んだので教師の道は捨てた。と思っていました。

 また部活動でも野球部を選ぶと吹奏楽は学べなくなり、ハンドボール部に入るとダンスはうまくならなくて、その専門性を極めることは難しくなります。大谷翔平と羽生結弦、もしくは将棋の藤井聡太は通常両立しません。

 高校は夢を見つけるところでもありますが、現実を知り、何かを選ばないことを決めるところであるかもしれません。

 ではその上で、「夢に向かってチャレンジする人物を育成する」というのはどういう事でしょうか。

 卒業に当たり一つお話をさせてください。「夢そのもの」についてのお話です。皆さんが2年生になる時に僕はこの学校に着任しました。着任にあたってこの学校の大切にしている事、スクールミッションを読みました。「夢に向かってチャレンジする人物の育成」とありました。「夢チャレ」という授業もありました。思春期、青春期を迎える生徒に真正面から「夢」を掲げる学校、まぶしくインパクトがあり、前任の校長先生に、「堺東高校生がチャレンジする『夢』とは何を指しますか」と聞いた時、 「それがとても難しいのです」とおっしゃっていました。とても気になり、一昨年、生徒・保護者の皆さん、先生がたにも伺いました。それぞれが、考える「夢」について教えてくれました。それはそれで素晴らしかったのですが、学校としてスクールミッションとして挙げる以上、何か「夢とはこういうことだ」というものが欲しくて、研究を続けていた時に一冊の本の事を思いだしました。20年前に手に取った「1歳から100歳の夢」という本でした。1歳から100歳の方にインタビューし、その夢を紹介している本で、20年前にとても感動し、当時たくさんのメンバーに薦め、贈った本でした。

 調べると京都のいろは出版のキムさんという詩人であり社長である人の書いた本で、今では他にも「中学生の夢」、「高校生の夢」、「先生の夢」、「家族の夢」、「世界の夢」と、そのインタビューの幅は広がっていました。話が聞きたいと連絡先を調べてアポをとり、そして夢について話を聞き、さらに感動して、皆さんが3年生になった去年の4月18日、堺東高校に来て話をしてもらいました。覚えているでしょうか。数万名の夢を聞いたキムさんの夢の定義は以下でした。 「『夢とは何か』という話があります、その時に夢と目標の違いを考えるとわかりやすくなります、 「アスリートの夢」という本を書いた時に、水泳の入江さんというアスリートに目標を聞くと、『オリンピックで金メダルを取る事だ』と言う、夢を聞くと『メダルを取ってお世話になった人が笑うのを見る事だ』と。広島の新井監督に目標を聞くと『ペナントレースで優勝することだ』と言い、夢を聞くと『優勝してビールかけをすることだ』と言う。そこでわかったのですが、目標は「目ざす山の頂上に立てる『フラッグ』」で、夢とは目標を達成して、その頂上に立った時に『見たい景色』なんだとわかりました」とおっしゃっていました。「だからともすれば目標は苦しく、厳しい。だけど「夢」は見たい景色なので明るく、楽しいんです」と。 

 この日以来、僕は「夢の定義」を尋ねられると「目標を達成した時に、その山頂から見られる景色です」と答えています。

 そして、もう一つの「夢の定義」です。みなさんは「人生でどんな景色を見たいのでしょうか」という事です。それは、「登るその山の頂上に立たないと見えない景色なのでしょうか」ということです。

 さきほど、僕は進学に際して経営学部を選んだので教師の道を選びませんでしたと言いました。でも今、ここで皆さんにお話をしています。もう12年です。

 僕は18の時にはいつか企業経営がしたいと思っていました。企業を経営して世の中の役に立ちたい!みたいな。でも働いて分かったんですが、僕が一番面白いのは、出会った人が何かを学んだり新しい事を知って喜んでくれたことだったのです。なのでこの仕事のことを知って迷わず手を上げました。まさに今ここで「見たい景色」が見えています。

 卒業生のみなさん 堺東での3年間を過ごし、これからの皆さんの人生で、「見たい景色」は見えてきたでしょうか。どんな時に「嬉しいと思えるか」がわかったでしょうか。どの山を登ろうとも、その「見たい景色」を忘れずに、いやずっと「それは何か」というを考えながら、この3年間で試行錯誤した経験を振りかえりつつ、前に進んでいってほしいと思います。大切なのは「いつか見える景色」を信じて、例え山は変われど足を出すことです。それが「夢に向かってチャレンジする」という事だと思います、その結果見たい景色を見るために、厳しいけれど光輝く人生を頑張ってください。何度も言います。大切なのは足を出すことです。応援しています。みなさんならきっとできます、堺東高校の卒業生ですから。

本日はおめでとうございます。3年間 ありがとうございました。お幸せに。

令和8年2月27日

大阪府立堺東高等学校 校長 山本哲哉